2013/08/16 “あ、”

『さいしょ』とはどういうものだろう。
まず、このサイトにとって、これが最初のまとまったテキストだ。
最初、だの。はじめ、だの。
たいていのひとは、そこに特別な意味を見出そうとする。
ぼくもその一人だ。
だからこうして、普段意識もしない『ことば』に丁寧に触れる、
その手ざわりを確かめてみる。

すこし恥ずかしい
そして、どうも、嫌な予感がする。
まったく反対に、たのしいことが起こりそうな気もする。
いつか、こんな場所を作ったことに、腹を立てるかも、
すすんで恥を晒すなんて馬鹿馬鹿しいことだし、
ほかならぬ将来の自分に軽蔑されるかも。

とはいえ、事ははじまってしまった。

『続けなくちゃいけない、続けよう。』

と、サミュエル・ベケットは『名づけえぬもの』の最後に書いた。
そこには前向きさも、後ろ向きな気分もない、
なにかを貼りつける事はできても、そこに真も偽もない、
表も裏もない、ただ“そうである”。
こればっかりはどうしようもない。
恒常性のあるもの、すべてにあてはまる、
続けなくちゃいけない、続けよう。

飯を食おう。うそをつこう。楽しんで悲しんで、なにもかもいやになろう、
セックスをしよう、同じくらいに恥らおう。寂しくなったり、退屈したり、
なんてくだらない、おもしろくもなんともない。
問題ない。これでいいのかな、もうだめかもしらない。もうおしまいなのかな、
そのとおりだ。そんなわけはない。うまくすべりだしたな、ああ、
始まってしまった。
終わるのは骨だぞ、最後のギャロップはいつになるかな。

続けよう、続けなくちゃいけない。
終わるまで、終わる事が許されるまで、
『おわり』なんてものの意味もわからないのに。
うん。